• 公開日: 2017/9/16
  • 更新日: 2018/12/13

辛い状況の中、文字盤でナースに伝えてくれた「お祝い」

テーマ:患者さんから言われて印象的だった言葉と、そこから学んだこと

筆談によるコミュニケーション

hitsudan

文字盤を試してみるも…

呼吸状態が悪くなり気管切開をし呼吸器に乗った受け持ち患者さん。
最初の方はセデーションかけて寝ていましたが、薬を切って数日後には口パクで何かを訴えられるようになりました。しかし、イマイチ内容が掴めませんでした。
半身麻痺でしたが右手が動くので、リハビリに相談し文字盤を右手で指し、1文字ずつ読み取ってみようと本人に話して始めてみました。しかしイライラしてしまい、文字盤を投げることもありました。

高熱の中、私を呼んで伝えてくれた「お祝い」

私のことは受け持ち看護師だと認識してくれていて、勤務でいると手招きで呼んでくれ、ジャンケンなどで楽しみました。
呼吸器にのって数週間後に急変し、「苦しい、苦しい」とジェスチャーで訴えている患者さん。
危険な状態だったため家族もお呼びしました。
高熱も出てしんどいながら、患者さんからコールがあったためベッドサイドに行くと、文字盤を指さしたので近くに持っていきました。
1文字ずつ1文字ずつ 「け…っ…こ…ん……けっこんおめでとう」と指してくれました。
私ごとながら1か月前に入籍し、まだこの患者さんが喋れている頃にその話をして、「お互い幸せになろーね」と言い合ってたのを覚えてくれていたのです。

声以外のコミュニケーションを大事に

あんなに嫌がってた文字盤で、しんどいながら指してくれたお祝いメッセージ。
残念ながら患者さんはその日に亡くなってしまいましたが、おめでとうの言葉は忘れないし、結婚4年目になりましたが私はいま、家族4人楽しく生活しています。
声は出なくてもジェスチャーや頷き、表情から読み取るコミュニケーションこそ基本であり大事にしたいなぁーと改めて気づかせてくれた、受け持ち患者さんに感謝です。
結婚後産まれた2人の息子のことも空から見守ってくれてるかなぁぁ…

●執筆●*? さん
免許取得してからずっと急性期で働いています
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