• 公開日: 2017/10/4
  • 更新日: 2018/12/13

夜間の〇〇が、利用者さんの心が開いたきっかけになりました

テーマ:患者さんと「通じ合えた」と思えた看護ができたとき

失語症だけど

shitsugosyo

心を閉ざし、引きこもってしまった利用者さん

脳梗塞後の失語症で、発語できるのは「たーたー」のみ。
病院を退院後、老健に入所。自分を受け入れられず、施設に入所させられたこと、伝わらないもどかしさから苛立つことや暴力も多く、家族にも医療者にも誰にも心を開いてくれませんでした。食事も部屋も個室で閉じこもっていました。

夜勤での「洗髪介助」

入浴拒否も一ヶ月続いたある夜勤のトイレ介助のとき、頭を掻いていました。
「シャンプーしましょうね。さっぱりしますよ」と言ったところ、今この部屋でやってとばかりにジェスチャーと、たーたーと言ってきました。
夜勤は4人いましたが、そこの棟には私一人だったため、明日お風呂に入ろうと言いましたが拒否して怒りだしてしまいました。
『今このチャンスを逃したら二度とやらせてくれないかもしれない』と思い、ちょうどナースコールの少ない時間帯だったこともあり、ナースコールがあったら行かなければいけないことを了承していただき、急いで浴室からシャワーケープとドライヤーを持ってきてシャンプーとドライヤーをし、就寝していただきました。

その日をきっかけに

その翌朝、その方が初めて個室から出てきたと思ったら、手を差し伸べてきました。
初めはなぜかわからなかったのですが、頭を指差し、何度も何度も「たーたー」といいながらお辞儀をして下さり、握手してきたのです。
その日から食事や行事にも参加したり、入浴もしてくださるようになり、他の職員にも心を開いて下さいました。
他の利用者さんもいるのでなかなか難しいですが、あのときニーズを満たすことができて本当に良かったと心から思いました。

●執筆●みつやさいだー さん

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