• 公開日: 2016/10/1
  • 更新日: 2018/12/13

対応が難しかった受け持ち患者さんが、私に送ってくれた「エール」

テーマ:患者さんやその家族の「忘れられない一言」

エール

ouen

心身ともに限界ぎりぎり

看護学生の時の成人実習での事です。
働きながら高看に通っていたので、実習中でも週末は夜勤に入る日々でした。
正直本当にしんどくて、肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいで実習に臨んでいました。
その時の受け持ち患者さんは癌の再発・転移があり、本人には未告知という方でした。
気難しい印象はありましたが、毎日の看護援助や関わりを通して、患者さんからいろんな想いを聴かせていただくまでになりました。
そんな中で、私の患者さんの看護計画は引率教員の考えに沿わなかったのか、ことごとくダメ出し。
患者さんの前では笑顔を心がけていましたが、内心はストレスMAXでした。

辛いはずの患者さんからもらった「エール」に…

実習最終日、とうとう耐え切れずに休むと学校に連絡を入れました。単位を落とすことも覚悟の上です。
しかし、家にいても患者さんの事が頭から離れず、遅刻して実習病院に向かいました。
なんとか患者さんに実習終了の挨拶をし、その後、実習生は全員教員と個別面談があったのですが、私は教員から患者さんのコメントを聞いて涙が止まらなくなりました。
『あの子はとても母性に溢れている。生まれ持った性質以上に人生経験の中で培ってきたよいものを持っているので、私の看護で疲れさせてしまったのかもしれない。あの子の穏やかな眼差しと笑顔にどれだけ救われたかわからない。どうか先生、休んでしまったあの子を責めないでください。必ずいい看護師になる子です。よろしくお願いします。』
患者さんのコメントのおかげで、その後の実習を乗り越えることができました。
私よりはるかに辛かったはずの患者さんの言葉は重く、私はいまでもありがたいエールとして受け止めています。

●執筆●ウエムキアルコ さん

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