• 公開日: 2016/8/17
  • 更新日: 2018/12/13

新人だった私に対し、受け持った患者さんがかけた意外な言葉

テーマ:最も心に残っているエピソード

初めての人工呼吸管理をしている患者さん

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実際に使用している患者さんの元で

1年目の冬、初めて人工呼吸器を装着している患者さんを受け持つことになりました。
人工呼吸器を目の前に緊張し、戸惑っている私に対して、先輩が人工呼吸管理について、勉強会を開いてくださることになりました。
しかし、院内にある人工呼吸器は全て稼働しており、勉強会で使用するために人工呼吸器を借りることは出来ませんでした。
大変申し訳なかったのですが事情を説明し、私が勤務する病棟に入院していた人工呼吸器装着中の患者さんのベッドサイドで勉強会をすることに…。
患者さんの立場からすると、ベッドサイドでの勉強会は不安や不快感があったと思います。
しかし、患者さん本人より、「大丈夫、大丈夫。ゆっくり教えてもらいな。」と筆談で声をかけてくださり、勉強会後は先輩と一緒に実際に受け持ちが始まりました。

初めて聞いた、患者さんの「声」

MEさんや呼吸ケアチームのラウンドやリハビリには必ず立ち合い、いろんなケアをたくさん見学させていただきました。
ベッドサイドで先輩に厳しく指導されたこともありました。
その後状態が落ち着き、その患者さんは一般病棟へ転床されていきました。
2年目になってすぐの頃、聞き覚えのない声で私の名前を呼ぶ声が聞こえ、振り返ってみると、1年目の頃に受け持っていた人工呼吸器管理をしていた患者さんが、御家族と一緒に車いすに乗っていました。
人工呼吸器は離脱し、気切も閉じ、酸素はネーザルからの投与に。

勉強やケアの成果を実感できた

私は当時新人の私が緊張しながらも受け持ちをしていたが、今では人工呼吸管理をしている患者さんを一人で受け持っていることなどをお話しし、改めて当時のお礼をしました。
すると、患者さんと御家族から、「あの時、私のことをしっかり看るために厳しい指導にも耐え、勉強を頑張っている貴女の姿を見て、治療を頑張ろうと思えた。貴女の成長のお手伝いができてよかった。私の声を聴いてもらえてうれしいよ。これからも頑張るんだよ。」と、声をかけてもらいました。
その時ほど、患者さんの回復が嬉しかった、そして勉強を頑張ってよかったと思ったことはありません。
私が勤務する病棟では状態が悪い時に入院されていることが多く、患者さんが元気な姿で退院していく姿をみることは数少ないです。
自分の勉強やケアの成果を実感することが少ないのですが、今回、このようことを経験し、これからも頑張ろうと思いました。

●執筆●たにたに さん
HCU病棟2年目
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