• 公開日: 2016/6/1
  • 更新日: 2018/12/13

家族全員だったから受け止められた、「父の最期」

テーマ:看護師の私が体験した、家族の介護

父の最期

colum 10

ずっと同居を拒否していた両親が…

今までずっと、両親を引き取るつもりで借りた部屋に引っ越してこなかった両親。
しかし二年半前、突然引っ越して来た。
父(慢性腎不全の人工透析、胃潰瘍術後の吻合部癌で、胃全摘後。食事摂取の低下によるるいそう。入院が嫌で、家で死にたいと話していた)の介護をしていた母が、動けなくなってきた父の介護に一人では無理と思っていた。
その矢先、父が「〇〇(私)のところに引っ越す」と言い、その十日後私のところに引っ越して来たのである。

たまたま家族全員がそろった日に

それから親子で過ごした。
一年後、たまたま妹が泊まりに来ていた。
その夜中、妹がトイレに起きて父の顔を見に行った際、呼吸していないと思ったようで、寝ていた私を起こした。
私が確認すると呼吸停止している。
妹と相談(こんな夜中に救急車や警察を呼ぶのは近所の迷惑になる)し、朝まで二人で父の顔を看ていた。そして、朝方母が起きてきて父の事を伝え、警察を呼んだ。
勿論検証があったが、私が看護師だったことや今までの経緯を説明し、理解をしていただく。透析でお世話になっていたクリニックに連絡し、死亡診断書を書いていただいた。

家族全員で受け止めた「看取り」

母は「静かに天に召されて良かった。」と言い、父の死を受け入れていた。
父の長い療養生活。母の介護には色々な思いがあると思うが、父の最期は苦しまなかったと信じる。
徐々に食べられないことで痩せていき、体力も落ち動けなくなり、エアーマットも入れたが仙骨に褥瘡も出来た。
褥瘡ケアは私がしたが、他の介護は母を求めた父だった。
それでも、最期に家族が揃って看取りを迎える事が出来たのは幸せだった。

●執筆●時子 さん

このエッセイは 「ナースエッセイ」 にご応募いただいたものです。
あなたも「想い」を綴ってみませんか? ご参加は こちら から!

関連記事